2010年02月11日

ランドラッシュ(農地争奪)

 「ゴールドラッシュ」をもじって「ランドラッシュ」というらしい。農地を求めて世界を駆け巡る競争のことだ。今夜放送されたNHKスペシャル「ランドラッシュ〜世界農地争奪戦〜」は興味深かった。

 放送内容を簡単にまとめながら、コメントしたい。

 2050年には世界の人口が90億人を突破して、食糧が25%不足すると見込まれているそうだ。あと40年で世界の人口が1.5倍になるというのだ、食糧が不足するというのは感覚的にも理解できる。

 それへ向けて、インド、中国、韓国などの国々が、小麦、大豆、とうもろこし等の確保を求めて未開発で肥沃な土地が豊富にあるというウクライナ地方やロシア沿海地方に、収穫物の買い付けや借地の契約に向けて積極的に乗り出しているという。

 日本の農水省も食料安全保障チームを組んで、大手商社とともに官民一体で調査を開始しているが、完全に出遅れている状況だ。
 日本では、海外に食糧や農地を求めて進出することより、現段階では食料自給率を上げるために、国内の農地を開発し、国内農産物の生産と消費の増加を目標とした政策に力を入れているので、ランドラッシュの対応とはある意味真逆の方向を向いている。

 今の日本では、はっきり言って農産物はモノ余りの状態でその価格は安値安定傾向が続いている。これは海外から安く入ってくる農産物が支えている。さらに日本はこれから人口減少の時代に突入してくる。2050年には9,100万人まで減少する見込みだ。しばらくは食糧余りの状況は続くだろう。

 しかし、世界的に食糧が不足することは明らかだ。極端な話、食料自給率40%の現状で、輸入農産物が全く入って来なくなったとしよう。荒っぽく言えば食糧が60%減少するということだ。
 それまでに日本は国内産の食糧を確保することだけやっていれば良いのか、それともランドラッシュの流れに乗って海外にもその手当を求めて動くのか。政府や大手商社にとってみたら重要な判断に迫られていることは間違いないようだ。

 どちらにしろ、我が社の様に国内農産物の出荷を生業としている人間にとっては、さらに国内農業の安定出荷と強い国内農業の育成に注力して行くことは、例え将来的に世界食糧危機が訪れたとしても、間違いではないようだ。

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2010年02月07日

契約栽培は、自分たちの首を絞めている?という仮説

 今年最初の記事となったが、最近の厳しい農業情勢について流通業者の立場でいろいろ考える日々である。そんな中、「契約栽培は、自分たちの首を絞めてないか?」という仮説がたびたび頭をよぎる。


 一昔前まで、まあ、10年くらい前までだろうか、雨が降れば野菜の出荷が減って相場が上がり、連休前やお盆前や正月前は、市場が休みになるということで消費者や仕事で野菜を使う人達もまとめ買いに走り相場が上がる。また寒い日がくれば鍋料理をする家庭が増えて、白ネギや白菜などの鍋商材が売れた。

 農家の人は作業の段取りを考えるために天気予報と睨(にら)めっこするのは当然だが、野菜流通に関わる人間も違う意味で天気予報の情報は大事なものだった。天気予報で晴れるか雨が降るか、寒いか暑いかなどの情報を参考に相場の上げ下げを予想して商売している人たちもたくさんいた。
 逆に言えば、上がることがあれば下がることもあるわけで、その辺の不安定さが野菜・農業業界に関わる人間にとってリスクでもあり、またはボーナス的に儲ける要因でもあった。

 農業を通して安定した事業を成り立たせるためには、安定した価格で安定した量を生産して販売することであることは、それが会社であれ個人であれ一番理想であることは明らかである。
 野菜を原料として使用する食品メーカー・漬物工場・カット野菜工場など実需者も安定した製造原価を担保するために、ここ10年くらいで契約仕入れが急増して来ている。
 安定した価格と量を生産・出荷して安定した農業経営をしたいと望む農家と、安定したコストで仕入れたいう実需者、お互いのニーズが最近の契約栽培・契約出荷・契約販売・契約仕入というものを増やして来たことは当然のことだろう。


 しかし、実際に契約販売をしている私が最近思うことは、契約栽培は、自分たちの首を絞めてないか?ということなのである。この場合の、自分たちとは、実需者以外の生産者や流通業者のことである。


 一つは、冒頭に書いたように天候による出荷量の増減があった場合でも、契約した農家や流通業者は天気を先読みして出荷すべき野菜の準備をしている。よって、市場に入ってくる野菜の量が少々減ったとしても相場に対する影響が少なくなっている。具体的に言えば、雨が降る前に必要量を収穫して冷蔵保存したりしているのである。それは質の良い冷蔵設備や冷蔵輸送の設備の普及もそれを助けている。

 昔ならば、雨が降って市場の入荷量が減った時など、どうしても工場で使う必要がある実需者は、少ない市場の商品を取り合うことになり、それにより相場が上がっていたのである。
 安定という意味では契約栽培は良い事ばかりだが、それには落とし穴があった。

 それは、"契約単価が安い"ということである。実需者も工場で製造する食品にしろ漬け物にしろカット野菜にしろ、それを販売する状況は非常に厳しいものがあり仕入れコストの削減に躍起になるのは当然のことだ。
 価格を固定して安定した単価で原料を仕入れるとなれば、契約の際にどうしてもギリギリの厳しい単価を求めてくるのは当たり前である。

 また先に述べた様に、出荷量の増減により商品が取り合いになる状況が減っているため、市場では”安値安定”の相場傾向が非常に強いのである。これは契約出荷が増えて来たからこそ現れた現象だと考える。


 このような状況をまとめると、契約販売分は、生産原価ギリギリで安く安定出荷しており、その他相場で市場や農協に出荷する分は生産原価を下回る相場で販売する状況ということが起こり易くなっているのである。


 安定した野菜の契約出荷が拡大すれば拡大するほど、さらにこの傾向は強くなるだろう。市場相場も契約単価もますます安値安定傾向に推移していってしまう。
 雨が降ろうが台風が来ようがいつでもどこでもモノが買え、家で作らなくてもいつでもどこでも好きなモノが食べられる時代だから、消費者もモノが無かったり相場が上がったら、無理してそれを買うことをせず、他のモノを買えばいいだけだ。そんな便利な社会システムがなおさら安値安定の流れを後押しする。

 さあ、どうする?

 他の人が取り組まず競合が少ない野菜を扱うか。他の人は行っていないような特別な栽培方法で安全や安心を訴えて差別化した販売方法で高値販売を頑張るか。薄利でも良いので量で勝負しようと大規模農業に取り組むか。味で勝負するか。いかにコストを下げるかと努力するか。いかに反収量を上げるかということ目指すか。ネットを含めて自分で小売りを始めるか。

 それぞれの自分にあった方法は置かれた状況により様々であろうが、簡単に契約栽培で安心する時ではないように思う今日この頃である。

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2009年11月18日

国内農業における構造動態はどうなっているのか

 農水省による平成21年2月1日現在の調査資料を見て、国内農業における構造動態はどうなっているのかをまとめてみた。


■農家戸数

 全国の販売農家数は、170万戸(前年比▲2.9%)で、このうち、主業農家が約34万戸(同▲5.5%)となっており、全販売農家数の20.3%である。

 販売農家数も主業農家数も、ここ数年3%〜5%程度ずつ減少してきている。

 ちなみに、「販売農家」とは、30a以上又は年間の農産物販売金額が50万円以上の農家のこと。
 また、「主業農家」とは、農業収入が農外収入より多く、かつ65歳未満の農業従事60日以上の者がいる農家のこと。
 つまり、「主業農家」は「販売農家」のうちの一部としてそれに含まれる。


■年齢別農業従事者数

 農業従事者数は、平成17年は224万人だったが、平成21年では191万人まで減少している。

 そのうち、70歳以上が45.5%、65〜69歳が15.0%、60〜64歳が12.1%となっている。

 つまり、60歳以上をまとめて考えると、72.6%となるのである。65歳以上でも60.5%である。

 平成17年時点での60歳以上は約70%。さらに遡って昭和50年時点での60歳以上は30%余りだった。いかに日本の農業人口が高齢化しているかは明らかである。


■耕地面積

 販売農家1戸当たりの経営耕地面積は、北海道以外では 1.41ha(前年比+2.2%)、北海道では 20.5ha(同+2.0%)となっている。

 主業農家1戸当たりでみると、北海道以外では 2.9ha(同+4.3%)、北海道では 28.87ha(同+3.6%)となっている。


■借入耕地

 販売農家1戸当たりの経営耕地に占める借入耕地は、北海道以外では 24.8%、北海道では 19.6%となっており年々増加傾向である。

 これを主業農家で見てみると、北海道以外では 39.9%、北海道では 20.1%となっておりこれも増加傾向である。


■生産作物別の農家数

 販売農家で見てみると、稲作52.5%、果樹類8.3%、露地野菜5.1%、畑作3.3%、施設野菜3.2%、肉用牛1.8%、酪農1.1%、その他単一3.0%、準単一複合経営16.5%、複合経営5.1% となっている。

 これを主業農家で見てみると、稲作16.2%、果樹類12.2%、施設野菜9.3%、露地野菜7.8%、畑作4.6%、酪農4.3%、肉用牛3.2%、その他単一8.4%、準単一複合経営23.8%、複合経営10.1% となっている。

 主業農家になると、稲作の割合が極端に減っている。販売農家というものの、副業的に農業を営んでいる人は稲作を中心に生産していることがよくわかる。

 販売農家に占める主業農家の割合が高いのは、酪農88.2%、施設野菜64.0%、などで逆に稲作は6.9%と一番低い。つまり稲作農家は、小規模農家の割合が高いということである。


■まとめ

 ここ数年の動向を見てみると、農家数は減少しているが、1戸1戸の面積は少し大きくなってきているということがわかる。これは零細農家が農業を辞めたり、高齢化でリタイアしたことも想像できる。

 また借入耕地を増やして経営耕地面積を増加させている傾向にあることも判断できる。

 さらに、この動向は自民党政権が行ってきた「大きな農業・強い農業・法人化・集団化・企業の参入」などの推進や法制度の影響が反映されたものだと思う。

 民主党が掲げている「戸別所得補償制度」は、まずは稲作農家から補償をスタートさせていくらしい。これは、農業に生活の中心をおいている主業農家を助けるよりも、広く浅く販売農家にお金を配ることを考えているということになる。

 自民党政権から大きく方向転換された民主党政権の政策によって、今後の農業動態がどう変化するか注意深く見守りたい。



平成21年農業構造動態調査結果の概要(H21年2月1日現在)(農林水産省 大臣官房統計部 H21年6月30日公表)の数字を引用または参考にしています。

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2009年11月17日

「マルシェ」、事業仕分けで『廃止』判定

 ニュースによると、行政刷新会議いわゆる連日テレビニュースで有名になっている「事業仕分け」、昨日は「マルシェ・ジャポン・プロジェクト(約6億円予算)」(農林水産省)も議題にあがったそうだ。

 事業仕分けの結果は、"民業圧迫"との理由で『廃止』の判定となった。このブログ内で以前書いたが、僕もこの判定には賛成だ。

 僕と仲の良い青果業界や農業界の人たちも、この「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」には深く関わっている人が多い。確かに、現場は必死だし汗水たらして、農家と消費者を直接的に結びつけることに成功した事例もたくさん生まれただろう。そういう中でこのプロジェクトに意味や意義を見つけ出した人もたくさんいると思う。

 しかし、実際は、農家ではなくいわゆる流通業者や産地出荷業者やコーディネーター的な活動を営んでいる人たちが現場で販売をしていたり、マルシェ(市場)であるべきなのに、町おこし・村おこし的な活動になっていたり、物産フェアみたいになっている事例が見受けられる。

 これは、農家を募集したにもかかわらず、応募が少なくて仕方なくテントの小間を埋めるために流通業者に声がかかったということもあるだろう。

 元々の農水省によるこのプロジェクトの狙いは、
(1)経済危機対策であること
(2)農水産業の活性化と所得向上
(3)生産者と消費者を直接結びつけることによるマーケティング力の向上
(4)都市に新たな文化と潤いの空間を創造し、地域コミュニティーの活性化
である。
 これを考えると今年の9月から来年の3月までとして、半年間でこのプロジェクトの果たした効果と役割は充分だと思う。

 判定理由にあるように、こういう事業は、本来、国から補助金もらって行うべきものではなく、民間が行うべきものであると思う。費用の全額(1マルシェ当たり上限1億2千万円)を国(税金)から出しておいてどんなに上手く行ったとしても、「成功した!!」とは喜べないだろう。

 農業の機能や役目は多岐にわたるが、最終的には"経済活動"なのだ。ましてや純粋な生産活動ではなく流通にまで手を伸ばした事業ならなおさらのこと、採算が取れない限り成功はない。こういう金に期待していても意味はない。

 この半年間の活動を否定するつもりは全くない。農業を盛り上げるための実験的イベントとして意味があったと思う。

 実際にこのマルシェに関わった人たちからすると、こういう僕みたいな意見を聞くと、「俺たちがどれだけ頑張ったか知らないんだろう?!」「現場でどれだけ、農家と消費者の交流ができたか見てないんだろう?!」「マルシェで農家の喜ぶ笑顔をみたら、そんな冷たい意見は言えないだろう!」と怒られるかもしれない。
 それは、ミクロ的な観点から判断すればその通りだと思う。逆に言えば、税金がかかっているのだから、ある程度の効果がないことには悲しすぎる。

 こういう素晴らしい活動は、民間の力で、採算が取れる様なシステムで、なんとか頑張ろうよ。これが言いたいだけである。

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2009年11月16日

「戸別所得補償制度」はどんな状況?

 民主党の看板政策の一つである「戸別所得補償制度」は、テレビ等でも名前だけはよく聞くものの、まだまだ具体的な方策は出てこない。

 とりあえず10月1日に、赤松大臣を本部長とする「戸別所得補償制度推進本部」なるものを設立。22年度に米農家に対してのみモデル的にスタートし、23年度からの本格スタートに向けて具体的な協議に入ったようだ。

 10月19日の農水省の資料では、22年度の予算で5,618億円の概算予算を申請している。これは、米農家向けにスタートさせるための直接支払い金(3,371億円)と、水田を利用して他の作物(麦・大豆・飼料・そば・なたね等)を作って自給力向上に寄与する農家への直接支払い金(2,167億円)、次年度からの本格スタートに向けての推進事業費や調査事業費(80億円)によって見積もられた金額である。

 また、これから予想される「実務的課題については、現場の実態を踏まえ、今後速やかに検討し、検討方向が定まったものから順次明らかにしていく」(農水HPより)らしい。

※参考ページ
「戸別所得補償制度について」のページ
「第2回戸別所得補償制度推進本部 配付資料」のページ
・「戸別所得補償制度に関する意見の募集について(11月10日締め切り)」のページ


 上記のことで分かる様に、「戸別所得補償制度」はこれから具体的に内容が煮詰まってくることになる。

 この制度の特徴的なことは、補償対象農家は、基本的にすべての「販売農家(30a以上又は年間の農産物販売金額が50万円以上の農家)」であることと、国からの直接支払いであることだろう。

 以前にも書いたが、自民党政権が行ってきた方針は、大きな農業を行い、外国産農産物に対抗できる強い日本農業を育てよう、ということだった。それに向けて、法人化、集落化、大型化を進める農家に対して補助金を出してその政策を推進してきた過去がある。

 今後、民主党の広く浅く日本の農業を救おうとする「戸別所得補償制度」が推進されると、自民党の政策にのって”人・物・金”をつぎ込んできた農家にしてみれば、屋根に登った途端にハシゴをはずされた気分だろう。

 その辺りのことも「実務的な課題」として具体的に上げられている。その他に、捨てづくり防止、調整水田等の不作付地の取扱、単価の設定や都道府県別配分方法、交付金支払時期などが課題としてあげられている。


 さて、再度基本的な政策に対する考え方の話に戻るが、広く浅くというこの「戸別所得補償制度」を自分なりに一言で言えば、ちょっと乱暴な言い方だがこうなる。
 『サラリーマンを退職した60歳以上の人がサラリーマンの息子家族と同居しながら、代々受け継いできた小面積の田畑を利用して、特に稲作を中心に週末型農業を行う兼業農家にも補助金をばらまくための制度』

 当然ながら、すべての兼業農家がこの乱暴なカテゴリーに入るわけではないし、またそういう兼業農家が悪いと言っているわけでもない。しかし、自民党がWTOやFTAに沿ってここ数年進めて来た政策とあまりに方針転換が激しいので、極端な表現をしたのである。

 では、日本の農家数と農業人口が、専業と兼業、稲作とそれ以外、耕地面積や年齢別にどのように分布しているかを次回に簡単に書いてみたいと思う。

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2009年10月19日

電気自動車の普及に見る農業の将来〜野菜工場の可能性

 18日の夜、NHKテレビでトヨタのプラグインハイブリット車の開発状況についてドキュメント番組が放送されていた。

 プラグインとは家庭用電源から直接充電できるバッテリーを持つことであり、将来的な電気自動車の基本となるものである。今回のプラグインハイブリット車とは、家庭用電源から充電も出来るバッテリーを搭載しながら、ガソリンエンジンも持つ車のことである。

 トヨタは、現在のハイブリット車から電気自動車への移行過程として、プラグインハイブリット車を年内に発売する予定とのことらしい。

 電気自動車を開発して既に発売開始している三菱自動車や来年度内にも発売開始予定の日産自動車がある。トヨタはとりあえず事実上の電気自動車としてプラグインハイブリット車をここにぶつける予定である。

 電気自動車は、昔からSF映画や漫画には出てきていたが、いよいよ現実の物となってきた。数年前まで1台当たり数千万円から数億円と言われていた価格も、500万円を切るところまでやってきた。それはまさに電池(バッテリー)とモーターの軽量化と大容量化とコスト削減のたまものである。


 いままでの自動車産業は、エンジン開発がそのメーカーの生命線であったことは言うまでもない。いかにパワフルに、いかに静かに滑らかに、いかにコンパクトに、いかに低燃費に、いかに安価になどを競争してきた。(※当然ながらボディ剛性や衝突時の安全性やブレーキ性能や快適装備に関しても各社激しい競争をしていることは言うまでもないが、ここでは特徴的なアイテムとしてエンジン開発を自動車メーカーの生命線とした。)

 それがどうだろう、電気自動車になるとモーターと電池が主要な基幹部品となる。まさに電機メーカーの世界である。いままでの大手自動車メーカーは、デザインをして各部品をいろんなメーカーから仕入れて組み立てるだけの工場となる恐れがあるのである。逆に言えば、様々な会社が自動車メーカーになり得る可能性が出てくるのである。

 トヨタは、将来的に単なる組み立て会社にならないよう、電池やモーターに関しても独自開発に向けて投資を行うようであるが・・・。



 さて、その辺りを考えながら、農業に目を向けてみる。


 現時点では採算性や技術的な問題も含めて夢物語と個人的に考えている「野菜工場」というものがある。農林水産省も進めている「工場で植物をつくる」という構想である。政府はここに補助金を出してでも普及させようとしている。自給率アップのためか、環境問題への配慮なのか、どちらにしろ将来的な新しい農業へ向けての投資である。

 前にも書いたが、現時点での野菜工場が成立するかどうかについては、個人的な意見は”ノー”である。しかし、環境が農産物に与える悪影響、逆に農業が環境に与える悪影響を考えると、いつの日か野菜工場もあるのかな、と現実的に少し考えてしまうようになってきた。

 数千万円だった電気自動車が数百万円に、さらに普及すれば今後は数十万円まで下がってくるだろう。去年の秋からのリーマンショックによる原油高を引き金に、トヨタとホンダのハイブリット車が脚光を浴びた。政府の景気刺激策としての環境対応車に対する補助制度も相まって、トヨタのプリウスは半年以上の納車待ちだという。その勢いにのって世界的にも自動車メーカーは電気自動車の発売競争に躍起である。

 そんなちょっとした契機があれば、ひょっとしたら野菜工場も一気に広がる可能性があるのでは、、、と思ってしまうのである。

 大手商社やプラントメーカーや建設会社なども、農業そのものに参入しないまでも、野菜工場建設のハードとソフトの開発を進めているところも多くあるはずだ。
 1施設で数億円から数十億円かかると思われる野菜工場であるが、研究開発と実績が増えていけば、コストダウンのノウハウの蓄積と大量生産のスケールメリットが表れ、これが10分の1くらいになる可能性はある。
 また野菜の品目によっては工場栽培では、巻かなかったり熟れなかったり大きくならなかったりするものが多くあるが、種苗メーカーや肥料メーカーなどの研究次第では、それも克服されるのも遠くないだろう。

 露地栽培で1反(=約300坪)当たり売上が20万円〜40万円の年間2回転で使用されている畑に10階建てのビルを建てて、各フロアで野菜を栽培して、年間6回転くらいの出荷を実現することは可能かもしれない。天候の影響も受けないし、害虫の影響も受けない。栽培はオートメーション化され、人件費は大幅に減少するだろう。水道は雨水をためて使用し、電力は屋上に設置された太陽光発電や風力発電を利用する。

 何度でもいうが、現時点では採算無視の夢物語だ。しかし、いつの日か、何かを契機に状況が一転することがあるかもしれないと思い始めたのである。

 だから、"もし"の話である、もしそうなった時、いまの農家はどうなるのか、何をするのか。もちろん全てが野菜工場に置き換わることはないにしろ、大規模に農業経営を行っている農業生産法人などがその経営方針について大きく影響を受けることになるだろう。
 トヨタなどの自動車メーカーがそのノウハウを蓄積した技術の結晶である"エンジン"を手放さなくてはいけなくなるのと同じことが農業にも起こるのかもしれないのである。

 大きくて速くてかっこいい高級車やスポーツカーがモテハヤされて来たバブル以来の自動車事情。それが去年の秋以降のこのエコブームである。燃費が悪い自動車に乗るのはカッコ悪いことで、社会的な罪である的なイメージが出来つつある。反対に、小さくてもエコであり経済的であるハイブリット車に乗っている人はカッコ良かったり、社会的善人であるという雰囲気がある。

 農産物だって、いまは自然の中で農薬や化学肥料をなるべく使用せずに栽培されたものが良いものだという消費者ニーズが出来てきているが、今後はどう変わるかわからない。ちょっとした事件や事故が契機になって、「野菜は工場の中で作られるのもが安全で安心なんだ」という消費者ニーズが社会現象として動き始めると、一気に野菜工場は普及するかもしれないのである。

 「野菜工場なんて、バカな!」なんて知らんぷりばかりはしていられないような気がしてきたのである。農家としてのノウハウの蓄積と技術の結晶が奪い取られるかもしれないのである。


 その時農家は何をしたら良いのだろうか。今から考えておいた方が良いかもしれない。NHKの番組を観ながら、そんな事を考えたのであった。

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2009年09月22日

民主党の農業政策はどうなるのか・・・

 民主党が政権をとって数週間。国の政策立案に関する権限を官僚から政治家が取り戻すための作業が始まっている。

 さあ、どこまで官僚制度を改革できるか、改革したことによる作業をこなせるだけの政治家が民主党にいるのか、どこまで無駄を削減できるのかなど、国民の期待と不安は相当膨らんでいる。なんであれ民主党は大変なモノを背負ってしまった気がする。

 特に、財源の根拠として民主党が常に説明している"無駄使いの削減"だが、何が無駄かという判断は国民から見た時に、その人の立場や業種や環境によって、自分の懐(ふところ)に影響することが全く違うので、大多数の国民を納得させるのは、なかなか一筋縄ではいかないだろう。


 農業に関して見ると、民主党政権になってどう変わっていくのだろうか。自民党政権の場合は、来たる農業の自由化・国際化の時代に向けて、国内農業をそれに対抗できる強い農業にするために、小規模農家の切り捨てなどと批判されながらも、「大規模化」「企業参入」「農商工連携」を推進していくことが明確だった。

 では、民主党はどうだろう。民主党がこれから日本の農業をどういう方向に持って行きたいか見ていく場合、僕は下記項目を注視していくことで確認していこうと思っている。

 (1)戸別補償制度の対象品目と基準となる農家の規模はどうなるか。
 (2)FTA(自由貿易協定)においてどこまで突っ張るか。
 (3)減反政策の方向転換は行うのか。
 (4)補助金の出し方はどうなるのか。
 (5)企業参入に関する法律や農地法などの改正はどうなるのか。
 
この辺りを見ていれば、自民党政権との違いがハッキリとして、将来的な方向が見えてくるのではないだろうか。


 ちなみに、民主党のマニフェストを見ると、31番目と32番目に農業に関する項目が出てくる。参考までに引用しておく。

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31.戸別所得補償制度で農山漁村を再生する
【政策目的】
○農山漁村を6次産業化(生産・加工・流通までを一体的に担う)し、活性化する。
○主要穀物等では完全自給をめざす。
○小規模経営の農家を含めて農業の継続を可能とし、農村環境を維持する。
○国土保全、水源かん養、水質浄化、温暖化ガス吸収など多面的な機能を有する農山漁村を再生する。
【具体策】
○農畜産物の販売価格と生産費の差額を基本とする「戸別所得補償制度」を販売農家に実施する。
○所得補償制度では規模、品質、環境保全、主食用米からの転作等に応じた加算を行う。
○畜産・酪農業、漁業に対しても、農業の仕組みを基本として、所得補償制度を導入する。
○間伐等の森林整備を実施するために必要な費用を森林所有者に交付する「森林管理・環境保全直接支払制度」を導入する。
【所要額】
1.4兆円程度

32.食の安全・安心を確保する
【政策目的】
○国民が安全な食料を、安心して食べられる仕組みをつくる。
○食品安全行政を総点検する。
【具体策】
○食品の生産、加工、流通の過程を事後的に容易に検証できる「食品トレーサビリティシステム」を確立する。
○原料原産地等の表示の義務付け対象を加工食品等に拡大する。
○主な対日食料輸出国に「国際食品調査官(仮称)」を配置して、輸入検疫体制を強化する。
○BSE対策としての全頭検査に対する国庫補助を復活し、また輸入牛肉の条件違反があった場合には、輸入の全面禁止等直ちに対応する。
○食品安全庁を設置し、厚生労働省と農林水産省に分かれている食品リスク管理機能を一元化する。併せて食品安全委員会の機能を強化する。
【所要額】
3500億円程度
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2009年08月29日

野菜が高かった夏?

 あっという間の夏でしたね。というか、長い梅雨でした。

 ということで、マスコミでも騒いでますが、今年の春〜梅雨〜初夏にかけての全国的な低温、日照不足、長雨、大雨により野菜の生育不足が発生し、野菜市況が上昇しています。

 野菜市況的にはこの期間どういう動きをしていたのでしょうか。いくつかの品目に絞ってグラフ化してみました。
(ベジワン http://www.vegeone.netより )

2009レタス2009馬鈴薯2009人参2009玉葱

 これらの品目は特に高くなったと騒がれているものですが、確かに8月に入るとどれを見ても平年の1.5倍程度になっています。というか6月〜7月が安かったということもよく分かります。まあ、最近の上昇は、お盆特需も重なったと思われるものもあります。本日現在では軒並み下降傾向にあります。



 政府は普段なら出荷しないような曲がったり小さすぎたりするC品野菜も出荷するように関係団体に要請したというニュースが流れていましたが、そんなもん値段が付くんだったら政府に言われなくてもみんな勝手に出荷するでしょう。

 また早出し(前進出荷)についても要請したということですが、早出しして小さいまま出荷すると言うことは出荷数量(箱数や重量)が減るってことですから、生産者は普通ならやらないことですよね。でも相場が高くて採算がとれると判断すれば政府が言わなくても、取引先との話し合いの中で勝手に出荷するでしょう。

 相場高騰に対して、"政府も何かしましたよ"的にああいうコメントを発表するっていうのはいかがなものかと思いましたよ。



 とにかく、高い高いと騒がれた8月の野菜。では生産者の手取りはどうだったんでしょうか。

 価格が上がれば、農家は嬉しいんじゃないの?なんて言う方もいらっしゃいますが、平年と同じ量が出荷できれば価格が高いに越したことはないでしょう。しかし、一般的には、出荷量が少ないから価格が高くなるわけです。「出荷量×価格=収入」で計算すれば高い時が良いのか安い時が良いかは一概には言えません。

 一番悪い状況は、出荷量が少ないのに価格が上がらない時です。これって最近結構あるんですよね。

 まあ、決まった量を出荷できて、決めた価格でちゃんと販売できればそれが安定した農業経営を行うことになるんでしょうけど、そこは自然相手のお仕事、そう上手くはいきません。



 秋冬野菜の産地では、種まきや定植が始まってます。この調子で変な天気が続けば秋冬作の野菜市況にも影響が出そうです。

 エルニーニョ現象により今年の夏は冷夏となるという気象庁の予測はズバリ当たってしまいました。現在のエルニーニョ現象は冬まで続くと予想されてます。

 生産者の皆さんも、実需者の皆さんも、流通業者の皆さんも気象情報や畑の状況に細心の注意を払って仕事に頑張って行きましょう。

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2009年07月12日

フェアトレード

yd_01 最近よく目にする言葉とマークだと思うが、そのまま訳すと「公正な取引」ということになる。

Wikipediaによると「公正取引(こうせいとりひき、英:Fairtrade、仏:Commerce équitable、西:commercio justo、フェアトレード、公平貿易)とは発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することを通じ、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す運動である。オルタナティブ・トレード(Alternative Trade)とも言う。連帯経済の一翼を担う活動でもある。」とある。

 「私たちの日常を支える輸入品の多くを作っている開発途上国の生産者たちと、安定かつ持続可能な取引をすることで、生産地の環境を守り彼らの生活をサポートする「貿易のしくみ」です。」(フェアトレード・ラベル・ジャパンの冊子より)

フェアトレード ドイツに国際フェアトレードラベル機構という認証機関があり、そこに申請してフェアトレード商品として認められたものだけが使えるフェアトレードラベルを貼ったり使ったりできるのである。(左図はフェアトレード・ラベル・ジャパンのHPより)

 対象となっている品目は、バナナ、ココア、コーヒー、綿、米、砂糖、茶、ワイン、果実、スパイス&ハーブ、ジュース、花、スポーツボールなど。

 これにより流通業者などの企業は「企業の社会的責任(CSR)」=「企業の社会的貢献」として、商品に付加価値をつけようということだろう。

 日本では、コーヒー豆を中心に年間約14億円のフェアトレード商品が流通しているが、なかなか浸透するには時間がかかっているようだ。社会的責任と社会的貢献と広告宣伝価値との考え方のバランスがまだまだ成熟していないのだろう。

 というか、今のご時世、不景気の影響で消費者が安い物、安い物と求めている状況ではなかなか企業もフェアトレード商品を積極的に取り入れることは難しいだろう。
 まずは消費者に対する啓蒙活動が必要だ。企業の社会的貢献ではなく、"消費者の社会的貢献への意識アップ"が相当必要だと思う。



 さて、いままで書いてきたフェアトレードはあくまでも国際間の貿易における仕組みのことだが、国内には米や野菜や果実や肉や卵において、フェアトレードの様な認証機関が認めた商品は、それにしか貼れないシールやロゴマークを使うことができるという仕組みはないのだろうか。

 有機栽培・特別栽培農産物・エコファーマーなどの品質に関する認証機関や表示基準については最近確立されてきているが、生産者に対する価格保証的な統一活動は目にすることはない。

 確かに、一部の生協や消費者団体で生産者の再生産を促すような契約購入をする動きをしているところはあるが、あくまでも個別の活動だ。

 "食の安全と安心"は、消費者の利益を守ることを優先した活動であるが、これは逆に生産者側に対してコストアップを余儀なくさせてきた部分がある。消費者はその安全という利益の見返りとしての対価を生産者に払って当然だと思うのだが。(産地偽装や偽装表示問題が頻繁に起こると、消費者がそういうムードにならないのも判るけど・・・)

 食糧自給率アップや日本の農業の危機を叫ぶのであれば、そろそろ農家の生産活動を維持するため、また今後農業に携わる若者たちを増やしていくために、税金を使って彼らの生活を保障することだけでなく、消費者として日本の農業を支える運動が起こってきても良いと思うのだが・・・。

いかがなものだろうか。

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2009年07月11日

マルシェ・ジャポン・プロジェクト

 農林水産省の新しい事業に「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」というのがある。


いったいどんな事業なの?

「農林水産省は、大都市における農産物の直売を支援するため、公園などを活用し、テントなどの仮設施設による直売事業(マルシェ)の運営に対して運営経費の助成を行います。」(農水省HPより

 「マルシェ」とはフランス語で「市場」。「ジャポン」は「日本」。つまり英語で言うと「マーケット・ジャパン・プロジェクト」のこと。英語でも意味わからんのに、なんでフランス語と英語を混ぜた名前にしたんだろう。

 マルシェと言えば某食品メーカーのカレーを思い出すくらいで、日本では一般的な外来語としては認知されていないと思うんだけど。まあ、いいや。

 

 さて、農水省によるとこのプロジェクトの狙いは、
(1)経済危機対策であること
(2)農水産業の活性化と所得向上
(3)生産者と消費者を直接結びつけることによるマーケティング力の向上
(4)都市に新たな文化と潤いの空間を創造し、地域コミュニティーの活性化
等が掲げられている。

 そしてこのプロジェクトを運営する事業者を今年5月に募集し、今回それが決まったとのこと。(農水省HP

 全国事業者については「株式会社ぐるなび」。マルシェ運営者は「株式会社トライ・ビー・サッポロ・札幌市」「万代にぎわい創造株式会社・新潟市」「TBSテレビ・東京」「株式会社マインドシェア・東京」「株式会社野菜ビジネス・東京」「森ビル株式会社・東京」「株式会社エヌケービー・横浜市、川崎市」「マルシェ・ド・大阪テロワール実行委員会・大阪市」「東果大阪株式会社・大阪市」「株式会社西日本新聞社・福岡市」が選定された。


 今回の運営ルールは、場所はオープンスペースであること、店舗は仮設設備で行うこと、同一場所での連日販売は2日を限度とすること、年間110日以上営業すること、開催地域は政令指定都市と同等の都市で行うこと、基本的に国産農産物を扱い価格は出荷者(生産者)が設定し販売員が対面販売を行うこと、などとある。

 会場選定経費、生産者等出店者募集経費、テント等設備リース料、広報費、毎回の設営・撤去費、会場借料などについて、必要な経費を全額助成(1マルシェ当たり1億2千万円を上限)するらしい。


 パリやニューヨークなどで行われている生産者による朝市(マルシェ)を想定して、日本の大都市でもそういうシステムを定着させようということらしいが、はたしてどうなのだろうか。

 日本では朝市と言えば、産地に近い地方都市で行われていることが多い。また現在、地方において道の駅などJAが中心になったものやプライベートのものも含め"農産物直売所"が盛んに作られており、そこそこ好調のようだ。

 このように、現状としては自分たちの農産物の魅力を武器に地方が都市圏の消費者を買い物や観光を兼ねて誘致しようとしている方向で動いていると思う。その中で今回の「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」は全く逆の提案をしているのだろうか。

 例えば、東京や大都市のデパートの催場で短期間に行われる「北海道物産市」は理解できるが、今回のプロジェクトは産地(生産者)と消費地(消費者)を結びつけるとは言っても、長距離輸送を前提にしたものではないだろう。

 生産者が「自分で価格を設定したい、こだわって作った自慢の野菜で消費者が喜ぶ顔を見たい、さらには収入をアップさせたい」ということを狙っているのであれば、マルシェが開催される場所へ自分で農産物を直接持ってきて配送費を省いて、頻繁に売り場を直接見て、買い手の声を直接聞くことなどが重要となるだろう。

 そうなると出店するのは、マルシェが開催される政令指定都市などの近郊の生産者に限られてくるのではなかろうか。
 例えば、鹿児島や宮崎の生産者が福岡市で開催されるマルシェに出店することは今回の本来の趣旨からは外れるだろうと思う。


 その昔、青果市場や魚市場を整備してきて国民への食糧の安定供給を維持することに国は力を入れてきたわけだが、現在世の中は”産直”や”市場外流通”という言葉がもてはやされて来ている。

 "今農業が熱い"、"農業は労働力不足"、"食糧自給率のアップ"、"安心・安全な食べ物"、"日本の農業は危機的状況"などのキーワードが氾濫している中で、どうにか日本の農業や農産物や食糧問題を解決しなければならい、という風潮があるのは確かだ。

 今回の「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」は、単に農水省がそういうブームに乗って、人と物と管理能力を持っている大手流通会社を使って、新たな”市場流通”を作ろうとしているだけに見えて仕方ないのだが・・・。

 こういう企画やルール作りは、本来、産地や流通業者の独自な発想で全国各地で自発的に花火の様に打ち上がって来るべきもので(実際そういう動きはある)、国が旗を振るだけでなく具体的にバスまで用意して、それに参加者を乗せてどこか観光地に連れて行くようなことをするべきことではないと思うのだが・・・。

 いままで農産物の流通において、産地と消費者を結ぶ仕事をコツコツとしていた多くの会社にとってみれば、なんか釈然としない感覚が残るのはうちだけではないと思うのだが・・・。

 いかがなものだろうか。

vegenews at 17:02|PermalinkComments(31)TrackBack(0)この記事をクリップ!