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野菜・農業ニュース

万太郎ことベジネット社長が、野菜・農業に関する最近のニュースに一言物申す!

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マルシェ・ジャポン・プロジェクト

 農林水産省の新しい事業に「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」というのがある。


いったいどんな事業なの?

「農林水産省は、大都市における農産物の直売を支援するため、公園などを活用し、テントなどの仮設施設による直売事業(マルシェ)の運営に対して運営経費の助成を行います。」(農水省HPより

 「マルシェ」とはフランス語で「市場」。「ジャポン」は「日本」。つまり英語で言うと「マーケット・ジャパン・プロジェクト」のこと。英語でも意味わからんのに、なんでフランス語と英語を混ぜた名前にしたんだろう。

 マルシェと言えば某食品メーカーのカレーを思い出すくらいで、日本では一般的な外来語としては認知されていないと思うんだけど。まあ、いいや。

 

 さて、農水省によるとこのプロジェクトの狙いは、
(1)経済危機対策であること
(2)農水産業の活性化と所得向上
(3)生産者と消費者を直接結びつけることによるマーケティング力の向上
(4)都市に新たな文化と潤いの空間を創造し、地域コミュニティーの活性化
等が掲げられている。

 そしてこのプロジェクトを運営する事業者を今年5月に募集し、今回それが決まったとのこと。(農水省HP

 全国事業者については「株式会社ぐるなび」。マルシェ運営者は「株式会社トライ・ビー・サッポロ・札幌市」「万代にぎわい創造株式会社・新潟市」「TBSテレビ・東京」「株式会社マインドシェア・東京」「株式会社野菜ビジネス・東京」「森ビル株式会社・東京」「株式会社エヌケービー・横浜市、川崎市」「マルシェ・ド・大阪テロワール実行委員会・大阪市」「東果大阪株式会社・大阪市」「株式会社西日本新聞社・福岡市」が選定された。


 今回の運営ルールは、場所はオープンスペースであること、店舗は仮設設備で行うこと、同一場所での連日販売は2日を限度とすること、年間110日以上営業すること、開催地域は政令指定都市と同等の都市で行うこと、基本的に国産農産物を扱い価格は出荷者(生産者)が設定し販売員が対面販売を行うこと、などとある。

 会場選定経費、生産者等出店者募集経費、テント等設備リース料、広報費、毎回の設営・撤去費、会場借料などについて、必要な経費を全額助成(1マルシェ当たり1億2千万円を上限)するらしい。


 パリやニューヨークなどで行われている生産者による朝市(マルシェ)を想定して、日本の大都市でもそういうシステムを定着させようということらしいが、はたしてどうなのだろうか。

 日本では朝市と言えば、産地に近い地方都市で行われていることが多い。また現在、地方において道の駅などJAが中心になったものやプライベートのものも含め"農産物直売所"が盛んに作られており、そこそこ好調のようだ。

 このように、現状としては自分たちの農産物の魅力を武器に地方が都市圏の消費者を買い物や観光を兼ねて誘致しようとしている方向で動いていると思う。その中で今回の「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」は全く逆の提案をしているのだろうか。

 例えば、東京や大都市のデパートの催場で短期間に行われる「北海道物産市」は理解できるが、今回のプロジェクトは産地(生産者)と消費地(消費者)を結びつけるとは言っても、長距離輸送を前提にしたものではないだろう。

 生産者が「自分で価格を設定したい、こだわって作った自慢の野菜で消費者が喜ぶ顔を見たい、さらには収入をアップさせたい」ということを狙っているのであれば、マルシェが開催される場所へ自分で農産物を直接持ってきて配送費を省いて、頻繁に売り場を直接見て、買い手の声を直接聞くことなどが重要となるだろう。

 そうなると出店するのは、マルシェが開催される政令指定都市などの近郊の生産者に限られてくるのではなかろうか。
 例えば、鹿児島や宮崎の生産者が福岡市で開催されるマルシェに出店することは今回の本来の趣旨からは外れるだろうと思う。


 その昔、青果市場や魚市場を整備してきて国民への食糧の安定供給を維持することに国は力を入れてきたわけだが、現在世の中は”産直”や”市場外流通”という言葉がもてはやされて来ている。

 "今農業が熱い"、"農業は労働力不足"、"食糧自給率のアップ"、"安心・安全な食べ物"、"日本の農業は危機的状況"などのキーワードが氾濫している中で、どうにか日本の農業や農産物や食糧問題を解決しなければならい、という風潮があるのは確かだ。

 今回の「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」は、単に農水省がそういうブームに乗って、人と物と管理能力を持っている大手流通会社を使って、新たな”市場流通”を作ろうとしているだけに見えて仕方ないのだが・・・。

 こういう企画やルール作りは、本来、産地や流通業者の独自な発想で全国各地で自発的に花火の様に打ち上がって来るべきもので(実際そういう動きはある)、国が旗を振るだけでなく具体的にバスまで用意して、それに参加者を乗せてどこか観光地に連れて行くようなことをするべきことではないと思うのだが・・・。

 いままで農産物の流通において、産地と消費者を結ぶ仕事をコツコツとしていた多くの会社にとってみれば、なんか釈然としない感覚が残るのはうちだけではないと思うのだが・・・。

 いかがなものだろうか。
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ある新規就農予定者からの問い合わせ

 ホームページやブログを見ましたということで、時々、初めての方からメールを頂くことがあります。

 それがきっかけで野菜を販売させて頂くことになったりするし、野菜を仕入れることになったりもします。

 先日は、現在北海道で農業研修生として頑張っておられる方で今後独立して農業を始めようと思ってる田中さん(仮名)からメールを頂きました。
「農業を始めるにあたり契約できる販売先をさがしています。それにより安定した農業経営を計画しているのだが、ベジネットは野菜の契約をしてくれるのだろうか?」という内容でした。

 田中さんのように安定した経営を目指す新規就農者が今後増えて行くことは嬉しいことだし、ベジネットもそういう前向きに"経営"を考える農家とタッグを組んで行きたいと思っています。

 田中さんとのメールのやりとりをご本人の了解のもと、ここでご紹介したいと思います。新規就農者の実情の一つの例として参考になると思いますし、ベジネットが出来る契約状況も判ってもらえると思います。

(メールの内容は、一部変更しています。)


【田中さんより】===============

ベジネット様へ

 はじめまして。貴社のホームページをとても興味深く拝見させて頂きました。ご質問させて頂きたい事がありメール致しました。

 私は関西出身で、農業への新規参入を志し、数年前に北海道へ転居しました。現在、農業研修生として農業に従事しております。

 まだ確定はしていないのですが、北海道内に就農候補地があり、来年から経営を開始する予定です。

 この数年間、農業技術の習得と並行して農業経営の組み立てをしているのですが、私の地域のJAの農産物の取扱状況や、地域の現状を踏まえて考えると、価格面、また輪作や時期別の労働力の配分などの品目選択面で難しい事が多々あります。

 そこでご相談させて頂きたいのですが、貴社のホームページにあった生産者の募集をいうのは、私の様な新規参入者でも該当するのでしょうか?

 是非教えて下さい。よろしくお願い致します。


【ベジネットより】================

田中様へ

 はじめまして。メールありがとうございます。ご質問の件、下記に答えさせて頂きます。


 最近、弊社が主に取り扱っている商品は、加工業務用向けの大型野菜(大根・人参・白菜・キャベツなど)が中心です。それを週に何十トン〜何百トンという数量で販売しております。

 となると新規就農者であるかどうかが問題ではなく、ある程度の量を計画的に出荷できる体制があるかどうかが問題になります。

 つまり、田中様が新たに個人で小規模から農業を始めらるのであれば、お仲間の生産者の方とグループを組んで品目を絞って量をまとめられることが出来れば、とりあえず商談させて頂きたいと思う次第です。


 本来ならば、弊社に他品目を少量でも大量でも販売できるルート(チャネル)があればそれに越したことはないんですが、今のご時世、広く浅く何にでも手を出すことはリスクが大きいんです。

 限られた人と金の資源を得意なモデル(販売方法や商品)に集中させて
戦わないとなかなか生き残ることが難しい状況です。これは、農業に限ったことではないでしょう。

 弊社は、北海道から鹿児島までの商品を全国的に販売していますので特に運賃コストをさげる必要があります。その関係で、一回の販売ロットが大きい得意先を中心に探しています。逆に言えば、生産者に対しても1回の出荷ロットが大きくできるところと組んでいる状況です。


 私の勝手な推測ですが、もし、田中様が少量で他品目な野菜を高付加価値で販売したいと思っておられるのであれば、運賃コストがあまりかからない地産地消型の販売先を就農地近郊で探されるほうがよろしいかも。

 または、インターネットツールを活用して高付加価値の情報を発信し買い得感を与えることによる消費者への直接販売をされることをお勧めします。実際のところ、ネット販売は苦戦している販売者が多いと思いますが・・・。

 当然ながら、JAや市場との取引も残しつつ、ということのほうがいざという時に役に立つと思います。


 ということで、弊社が求めている商品を出荷できる形になりそうであれば、ご連絡頂ければ有り難く存じます。

田中様が農業分野で成功されることをお祈りしております。


【田中さんより】=================

ベジネット様へ

 いきなりの相談に対して、本当に丁寧な返答を頂きありがとうございました。貴重な時間を割いて頂いた事に心から感謝致します。

 ベジネットさんに頂いたメールで、貴社の方針等が非常に良く分かりました。

 最近よく耳にする新規就農者の経営内容というものはベジネットさんのおっしゃる通り、こだわりのある商品(有機などを含む)を少量多品種でというのが多いと思うのですが、私の目指す経営像は効率性を重視した土地利用型の大規模栽培です。

 就農初年度は約5haからスタートし、数年後には約20haの規模に拡大する予定になっており、その後の経営拡大も考えております。

 近い将来には条件を整えて、しっかりとした雇用を導入しての経営拡大を希望しているのですが、経営開始当初はやはり家族労働がメインになると思いますので、仮に夫婦2人で洗いの大根をやるとすると、6月下旬から11月上旬の継続出荷でも面積で約3ha、1週間で10トン程度の出荷が限界だと思います。

 ベジネットさんのおっしゃる通り、何らかの方法で出荷量をまとめる事などが必要だと思います。

 ベジネットさんに頂いた御意見を参考にして、更に経営内容を煮詰めていきたいと思います。

 また、何かあれば相談させて頂きたいです。その時は是非よろしくお願いしますね。今回は本当にありがとうございました。

以上
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「これからは農業の時代だ!」と思っている方へ

 リーマンショック以来、職を失った人達の雇用先として農業界への期待が大きいようですね。

 食料自給率をアップさせるための政府のプロパガンダの影響なのでしょうか、最近、テレビや雑誌等のマスメディアでも、「これからは農業の時代だ!」みたいなことが頻繁に大きく取り上げられてますね。


・・・はたして、そうでしょうか?


 リーマンショック以後、農業界で何かが変わったのでしょうか?儲からない上に3Kの現場だった農業の実態が何か変わったのでしょうか?大勢の人がそこに押し寄せて来れば、農業が変わるのでしょうか?サラリーマンだった人に、サラリーがない農業ができるのでしょうか?


・・・どう思われますか?


 農業が抱えている問題はそんな簡単に解決できることではないと思います。その程度だったら、とっくに解決していると思いますよ。


 大きくして儲かる農業もあるでしょう。大きくして失敗する農業もあるでしょう。大きい農業をやっていくのなら、農家は技術者でありながら、経営者でなければなりません。そんなすごい人、滅多にいませんよ。

 補助金をもらっても、農業経営は大変ですよ。50%の補助金をもらうということは、それと同額の借金を背負うという事ですからね。1億円かかる農業事業を補助金もらって5,000万円で始められたとしても、その事業が5,000万円だと採算取れるという保証は何もありませんよ。ただでもらえるお金なんてありませんからね。


 栽培管理を徹底させて、生協へ販売すれば大丈夫でしょうか?・・・注文数量に応じて出荷体制を整えるのは大変ですよ。残留農薬問題で取引停止になるかもしれませんよ。

 加工用の契約販売を実現すればそれで大丈夫なのでしょうか?・・・出荷量が大きいため欠品すると大変ですよ。量を確保するために地元の仲間をまとめて不公平にならないように豊作の時も凶作の時も数量を調整するのは大変ですよ。

 地元の道の駅などの直売所へ卸せば大丈夫でしょうか?・・・袋詰めや出荷作業が大変ですよ。値付けの方法も大変ですよ。地元の他の生産者が競争相手になるんですから、結構ツライものがありますよ。

 縛られるのが嫌なんで、作業や畑の都合に合わせて出来た数量だけを市場や農協に出荷していれば楽でしょうか?・・・相場次第で販売価格が変動するので生活が安定しませんよ。


 というか、そもそも天気や気候次第で畑からどんな商品がどれくらい出てくるのか毎年ドキドキですよ。販売先は契約してくれても、お天道様は契約してくれませんからね。


 さあ、これでも貴方は農業の世界に飛び込めますか?「やり方次第ではやれるんだ」という人は、まずは前述の僕の問題をぶち壊すだけの答えを自分なりにまとめられることをお薦めします。


 とか、言いながら、うちの会社ではまだまだ諦めてないからこの世界にいるんですけどね。問題と解決、対策と失敗、ひらめきと挫折、そんなことの連続の日々です。農家だけでは出来ない事、流通業者だけでは出来ない事、実需者だけではできないことを作り上げようとしてるんです。

 野菜がつないで行く社会を何とか作りたいんです。つまりベジタブル・ネットワークですね。それが「ベジネット」の名前の由来ですから。
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フード・セキュリティー

 アメリカの環境活動家のレスター・R・ブラウン氏が2005年に出した本のタイトルに「フード・セキュリティー―だれが世界を養うのか」がある。

 「フード・セキュリティー」とは「食の安全」ということではなく、”食糧安全保障”という意味で使われているようだ。将来的に世界の人口を養って行けるだけの食糧を人類は生産できるのか?また、そのためにはどうしたら良いのか、という問題のことである。
 前記事の「フードディフェンス」とよく似た言葉だが、意味は全然違う。但し、国際的な食糧政策の中では、フード・セキュリティーやフードディフェンスなどはあわせて重要な考えとして取り上げられているので、今回記事にしてみた。

 
 世界的にみて人口は特に途上国を中心にますます増加傾向にあり、現在60億人の人口は2050年には90億人と予測されている。

 世界で現在生産されている穀物は、人間が穀物からだけカロリーを摂取しようとすれば、約100億人分を養うだけの量が生産されている。しかし、この生産穀物量は家畜の餌に供されるものも含んでおり、実際に人の口に入る量ではない。

 また食糧の多くは先進国に偏って供給されており先進国では食べ残しの問題もある。日本の場合は、供給量の30%は食べられずに廃棄されている。

 途上国の食糧不足は現状でさえも飢餓を発生させている状況である。今後途上国の人口が著しく増加し、さらに先進国との貧富の差が拡大すれば、世界的な視野で見たときの食糧事情はさらに悪化することは明白である。
 これらの人口問題に追加して環境問題も併せて国際的な農業の状況を考えると、なかなか食糧生産量を増加させる要因は少ない。

 しかし将来的に必ず起こるであろう食糧不足の事態になれば、当然のごとく食糧の価格が上昇する。そうなれば、他の事業をおいてでも、世界のあらゆる場所を”畑”にして、資金を農業にシフトしてくる資本家(日本の商社など)たちは大勢いるに違いない。

 
 本の中で、レスター・R・ブラウン氏は、フード・セキュリティーを確保して行くには、中国の砂漠化を防止する、温暖化を防止する、地下水の過剰揚水を制限する、土地の農地転用を制限するなどの必要性を訴えているようだ。

 日本でも社会全体のシステムを考えた持続可能な農業を広めていき、食糧自給率をアップさせていくことが、とりあえず世界的なフード・セキュリティーを確保していくことにつながると思う。
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フードディフェンス(食品防御)

 フードディフェンス(food defense:食品防御)という言葉をよく耳にするようになった。

 これは「人為的に食品に毒物などを混入する犯罪から食品や自分たちの安全を守ろう」という考え方に基づいた食品安全体制のことを指している。
 この考え方は米国から入って来たものだが、米国ではこういう犯罪を「食品テロ」としてアメリカ食品医薬品局(FDA)が中心となって「バイオテロ」まで含めて予防・監視・保護などを対応している。

 日本国内でも中国輸入餃子事件をきっかけにして、フードディフェンスの気運が高まってきた。政府は内閣府内の食品安全委員会によって食品事故や食品テロを監視しながら食品安全行政を行っている。

 僕が思うに、対策方法としては、食品の製造・流通・販売までの取扱ルール作りと監視と検査を徹底的に継続的に行うしかないと思う。
 しかし原因となるものが、欠陥や過失や偶発的なものではなく、攻撃的であり、故意であり、悪意をもって行われるものであるためにその防御は実に困難なものだろう。

 その辺りの対応は、パソコンウイルスとウイルス対策のイタチごっこと同じような気がする。被害者は何の理由もなく無差別に被害を受け、社会全体として何の利益も生まないはずなのに、ウイルス対策の市場だけはどんどん拡大していき経済効果を生むという皮肉な結果だけが残る。

 この手の食品事件が頻発するようになると、製造・流通・販売の各ステージにおいて、余計な費用を掛けて安全を守る必要が出てきて、それがそのまま新しい産業や事業を生むことになるのである。


 話はちょっとそれるが、現在、環境対策に関係する事業や予算や企画というのは、『エコビジネス、環境ビジネス、グリーン税制、ハイブリッド』と言ったネーミングがされており、何か「美しくてきれいなもの」というイメージがある。
 しかし、それはそもそもは自分たち人類が汚したり壊したりしてきたことを、今後は少しでもその破壊のスピードを遅くしようとしているだけで、決して美しくもきれいでもないということを再認識したい。

 常に新しいビジネスを起こし続けていかねばならないということは経済の必然であろうが、現在の環境ビジネスは、あくまでも”相対的に低公害”なだけで、決して環境にプラスにはなっていない。(何も作らない、何もしないことが一番環境に良いに決まっているから。)

 
 フードディフェンスについても同様な部分があると思うが、食の安全というテーマはこれからの重要課題であることは間違いない。今後は性善説的な防御にとどまらず、性悪説的な考え方による防御まで含めた食の安全を考えなければならない時代になってきたことは否定できないようだ。
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野菜工場って、できるの?

 農林水産省と経済産業省が植物工場建設を推進していく。
http://www.maff.go.jp/j/seisan/engei/plant_factory/

 現在全国に約50カ所ある植物工場を3年後までに3倍の150カ所にするとのことで、「国産原材料供給力強化対策事業」において補助率50%を予定しており、業務用・加工用野菜への国内産野菜の安定した契約販売の推進を狙っているようだ。


 はたして、採算性において野菜工場の可能性はあるのだろうか。


 現在の野菜工場は、人工光を使った水耕栽培が中心であり、栽培可能な作物は、葉レタス類・苗類・ベビーリーフ・サラダ専用葉物・ハーブ類が中心である。
 トマトやピーマンなどの果菜類の栽培方法についてはまだ確立されておらず、葉物においても、玉になったり巻いたりするもの(玉レタス・白菜・キャベツなど)は、なかなか難しいようだ。

 さらに、一般の施設栽培と比較して設置コストが17倍、光熱費などの運営コストが47倍という数字も出ており、いくら設置コストが50%補助といっても、桁が一つ違うのではないか。それを作物の単価に乗せて販売すると一体1株のレタスをいくらで販売しなければならないのだろうか。

 いままで直接的に農業と関わりの少なかった異業種の大手資本が、机上でのシミュレーションを基に参入して来ない限り、現在農業を行っている「農家」の感覚では飛び込めない世界のような気がする。
 
 現代農業の負の効果である土壌への環境問題、農薬問題などの解決へ向けて考えると、「将来的」には野菜工場への方向性は受け入れられるが、あくまでもまだまだ「近未来的」としか考えられないのは、僕の感覚が遅れているのだろうか。
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ミツバチがいなくなる?

 イチゴ、メロン、スイカなどの作物の受粉はミツバチが花から花へ飛び回りながら行っているという話は小学校の頃に習ったと思うが、閉鎖されたハウス栽培の場合はどうしているのだろう。

 答えは、ハウス内にミツバチの巣箱ごと持ち込んで、ミツバチを飛ばしているのである。

 以前からそれ専用の蜂が販売されている。主流はセイヨウオオマルハナバチと言われる種である。ここ数年、それがハウス外に逃げ出して在来ミツバチの生態系を壊すということで、管理が厳しくなったハチである。


 さて、受粉用のミツバチが大幅に減少していることが、昨年後半から騒がれ出していたようだが、4月10日、農水省の調査でも明らかになった。さらに今朝はTBSとフジテレビの2局の情報番組でこの話題を取り上げていた。


 原因とされる内容をまとめてみた。

(1)昨夏に北海道や東北地方での働きバチの大量死。原因は不明だが、新しい農薬や新しい寄生虫の発生が考えられている。

(2)働きバチを産む女王バチの主要供給国であるオーストラリアでハチ特有の病気が流行し、輸入を停止しているため。これについては国がアルゼンチンからの輸入手続きを進めているという。

(3)蜂群崩壊症候群(CCD)。いわゆる「いないいない病」という言葉で表されることもあるが、ある日突然、巣箱のハチがいなくなるという現象がある。原因は不明であるが、”ストレスによる職場放棄”ではないかという説もある。CCDは、2006年辺りから世界のあちこちで報告が上がっているとのこと。


 そのような状況により、ハチの販売価格が4〜5割程度上昇し、青果物の生産コストアップにもつながっている。ハチが手に入らない農家では、人手による授粉作業を行っており、人件費アップが農家を苦しめている状況。

 特にハチ不足が深刻なのは21都県に及んでおり、ハチの巣箱盗難事件まで発生しているというから驚きだ。

 農水省は、「気温が上がる春以降は働きバチが増えるため、5月末ごろには不足状態が解消する」とみているようだが、原因がはっきりしていないため、今後の対策がたてにくい状況であろう。


 これはハチだけの問題ではなく、人間を含めた生態系破壊への警鐘を鳴らしている出来事のような気がしてならないの僕だけではないはずだ。

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ある施設園芸農業法人からの相談

 九州某県の農業生産法人から相談の電話があり訪問。相談内容は、簡単に言えば資金繰りを含めて経営がうまく行っていないので、支援してくれる企業を探して欲しい、とのこと。

 この法人は、10年ほど前に6億円(内50%は補助金)ほどをかけて3haの施設園芸用大型鉄骨ハウスを建設。トマトを栽培し、多いときには1日5トンを出荷することもある大規模農業を展開していた。

 しかし、4年前に受けた別棟ハウスの台風被害と、3年前に本棟ハウスで発生した病気により、2年連続で1千万円以上の売上げが消えてしまい、それ以来資金繰りが逼迫しているとのこと。

 さて今回のこの法人の申し出は、出資者または金銭的支援者募集であり、その条件としてはトマトに限らず指定された作物の栽培や、経営への参画をも受け入れる覚悟をしている。極端に言えば、会社ごと買ってくれるところがあれば幸いであるという感じである。

 補助金を3億円(50%補助)もらっても借金は3億円残ったわけである。毎年1,500万円以上の返済がある。

 天候に左右されにくく単収が露地栽培と比較して桁違いに高い施設栽培は、計画書段階では非常に優秀な数字をはじき出すことができる。しかし、どんなに工場のような立派な設備を構えても、所詮、相手は生き物であり、お天道様である。そう簡単にはいかなかったということであろう。

 辞めることを考えると露地栽培ならもっと状況は楽だったかもしれないが、施設栽培は、辞めたくても辞められない状況になりやすいのである。

 仕事柄、こういう話を直接農家の方から聞くことが多い。つくづく農業の産業化の難しさを肌で感じるのである。



 ※本文中に出てくる数字は、この法人を特定しないため、若干ながら事実とは違う数字を記載しています。この法人とタッグを組んで一緒に何かを始めたい、と興味を持たれた方がおられたらご連絡ください。
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諫早湾干拓(その2)

 引き続き同じ話題ですが、諫早湾干拓に入植している他の農業生産法人の方にもお話をお聞きしましたのでちょっとだけ追記的に書かせてもらうことにします。

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 そもそも、大規模農業のメリットというのは、少数品目を大面積に栽培することだと個人的には思っていた。
 理由は、(1)機械や設備の投資も短期で償却できる。(2)日々の作業効率が向上する。(3)栽培に関する技術力も早い年月で蓄積される。(4)資材(農薬・肥料・種・マルチ類・段ボールなど)の種類が少なく在庫も少なくできる、はずだから。

 さらに、単収(単位面積当たりの収入)が少なくても露地栽培の方が、初期投資が少ない分、リスクが少ないと思っている。大面積でハウス栽培などをやろうと思えばとんでもないお金が必要になるし、失敗したら取り返しがつかない。(その道の専門で農業をやって来られた人が徐々に面積を増やしていき、大規模経営になっていくのは一般的な成功例としてあると思うが)

 そういう観点から、ここ諫早湾干拓で大規模農業を営むには、加工用や量販店・生協向けを中心とした契約栽培で、葉茎類(葉物)・根菜類(根物)を中心とした露地野菜が中心になるものだとばかり思っていた。


 しかし、今回、話をお聞きした農業生産法人は、それとは全く反対のことを目指して事業計画を立てられておりびっくりした。

 「大根やキャベツなどの露地物は単価が上がらず儲からないので、付加価値の高い商品に取り組みたい。とりあえず減農薬・減化学肥料で特別栽培のトマトやピーマンなどの果菜類を中心に10品目以上での栽培計画を組んでます。」とのこと。

 40ha以上の圃場の約2割弱にあたる面積で全自動制御型のハウスを建築中で、集荷施設も建設予定。当然ながら栽培や輸送に関する機械設備も必要だし、さらには地下水位を調整する灌漑システムも試験的に一部の圃場に導入済み。また廃油を利用して再生重油を製造する機械も設置予定であり、ハウス加温のための油として利用する計画。(ちなみにこの廃油再生により年間数千万円の経費節減が可能とのこと)


 思わず聞いた。「補助金もあるでしょうが、計画も含めて結局いくらのお金をつぎ込む事業計画なんですか? うん億円くらいですか?」
 返ってきた金額にびっくり。桁が1個違っていた。


 この農業生産法人は農業以外の業種からの新規就農企業。試験圃場での農業経験を数年経ただけで、誰も農業出身者がいないとのこと。今後本格的に施設が完成するのに合わせて、農家の方や農業経験者をスタッフとして社内に揃えて行く計画。

 また、販売先については飲食業や量販店などを中心に安定した契約販売を模索中らしい。


 いやぁ〜、それにしてもびっくり。本当にびっくり。今までの農業の常識をぶちこわす素晴らしい成功事例になるのか、それとも他の失敗事例と同じように天候や自然条件に負けて思った通りの出荷ができなかったり、販売価格の低迷により採算が取れずに苦しい農業経営を余儀なくされるのか。


 しかし、内容はともかくこういう"規模"の取り組みが全国各地で成功しない限り、いまの日本農業の問題点である高齢化や労働環境問題、さらには食料自給率問題などは解決できないだろうと思う。

 今後も情報交換を行いながら、お互いメリットがある取引ができるかどうか成功の可能性を探って行きたいと思う。
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長崎県諫早干拓を訪問

長崎県の諫早(いさはや)干拓へ出向き、農業生産法人を営む社長と面談してきた。

 諫早干拓は去年4月より本格的にスタートした約700haの干拓農地。1圃場が6ha単位という九州では飛び抜けて広くさらに整備された圃場群。大きく整備された圃場は作業効率もよく大規模農業に適している。現在40以上の法人と個人が営農しているとのこと。

 大根、人参、馬鈴薯、ほうれん草、レタス、トマト、白ネギ、にんにく等が生産されており、現在もまだ、居住施設・集出荷施設・加工場などの施設が相次いで建設されている最中である。

 施設や機械など国の50%補助にて投資されている事例が多いようだが、土地は処女地が多く今後数年間に亘り、畑の中と外に対してさらなる投資が必要となるだろう。

 販売先は量販店や加工用などへの取り組みも活発なようで、今日面談した会社では青果市場への出荷はないとのことだった。

 しかし、大規模農業を行うハードが整ったとしても、人手を集める問題は残る。農業者の高齢化問題はどこも同じであろうが、大規模になればなるほどそれが人手不足という問題になり大きく顕在化する。
 そしてまたまた事情は同じであろうが、人を集めれば集めるほど、その居住施設とそのコストをどうするのか、また10月〜6月までの出荷期間以外の人手はそこまで必要ないため、常用で雇用することが難しい、と言った問題が残る。これが人手不足であって人手不足でないという農業事情である。

 また、本来ならば海岸沿いは海風が強く無霜地帯(むそうちたい)といって霜が降りにくく野菜作りには都合が良いわけだが、ここの場合は、海と畑の間に「調整池」という淡水の池がある。これが冬場は水温が下がり海からの暖かい風を阻む結果となり無霜地帯とはならないらしい。(その代わりに調整池は塩害防止と水害防止の効果あり。)

 とりあえず、今入植している法人や農家が3年後にどうなっているかでここの将来性が判断できると思われる。とにかく、国がいま目指している大規模農業者による農業の活性化が成功するかどうか、ここ諫早干拓での事業が成功するかどうかによってある程度判断できると言って良いほど、九州地区で非常に重要なモデルケースになると思う。

 とりあえずベジネットでも、ここにある農業生産法人と取引を行いながら、日本の将来の大規模農業の可能性を見極めて行きたいと思う。
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