2010年12月19日

講演会に行きました。自然農法、そして自然栽培。

今日、宗像ユリックス(福岡県宗像市)にて「食と健康・環境を考える永続可能な自然農法(自然栽培)」と題した講演があった。講師は、元田農園 元田祐次氏(熊本県)。主催はタッキーベジガーデンの滝口氏(宗像市)。

宗像ユリックス450

「自然農法とは、不耕起(耕さない)、不除草(除草しない)、不施肥(肥料を与えない)、無農薬(農薬を使用しない)を特徴とする農法。肥料や農薬を使用する従来農法(有機農法も含む)と異なり、基本的に播種と収穫以外の作業を行わず、自然に任せた栽培を行う。しかし、油粕や米ぬかだけは撒く人や、耕起だけは行う人、草を取らずとも刈ってしまう人なども自然農法の実践者として名乗る事があるためその栽培法は多様である。日本や世界各地に実践者がいる。」(wikipediaより

具体的な方法については、これを提唱する人によって違いはあるのもの、共通しているのは、自然の摂理に逆らわない栽培方法により環境や人間にとって悪影響のない農業を目指すことである。またその方法論として重要視するのは土の元来持っている力をいかに引き出すかを考えることだろう。


まあ、ここまで聞くと、普通の人は思うはず。「農薬を使用しないということは分かるけど、肥料を与えなくても育つのか?そもそも耕さないで作物が育つのか?」

答えは、「できる」らしい。

本来、土が持っている土壌菌が有効に活動できる状態であれば、土は自分の本来の能力を繰り返し発揮できる状態を保つらしい。また作物が健康に育つ事により、その根が土をほぐして行くために耕す事も必要ないということらしい。

元田氏は、単に農薬、肥料などの問題だけではなく、そもそも地球上に植物が存在した理由までさかのぼって、地球の構造や月と太陽との関係なども勉強。そしてそれらを構成する分子や原子レベルで考えてきたそうだ。



しかし、普通にその辺にある畑を使っていきなり無農薬、無肥料、不耕起で栽培をしても、それは厳しい結果になることは明らかである。自然農法の畑としてまともに作物が採れる状態になるまでは5年から10年は必要だということである。

家庭菜園や趣味として畑を作ったり、精神論や宗教的な目的でこれを行うのであればそれも良しであろうが、農業を仕事として生活の糧として行うのであれば、作物がちゃんと出来て売上があって生活が出来なければ意味がない。私のように農業や青果物流通を仕事にしている人間にとっては、それがまさに「営農」でなければ意味がないと思うのである。


今回の講師である元田氏は、元々は原始的な自然農法に惚れ込んで取り組み始めたものの、「食と健康と環境に良いものをたくさんの人に作ってもらいたい、食べてもらいたい!」という気持ちがだんだんと高まってきたそうだ。
そうなると自然農法を始めようと思った人が、土が出来て独り立ちするまでに5年も10年もかかってはそれを行う農業者が育たない。そうであれば、たくさんの人に良い物を食べて欲しいというのも実現できない。そこで、まさに「営農」としての自然農法の重要性を考えるようになったとのこと。まさに「自然農法」から営農の意味を込めて「自然栽培」を目指すようになっらしい。


そこで、元田氏は最近、植物から特別な方法で取り出したエキスを使って既存の土壌菌の活動を促進させ土の活性化を急速に進める資材に出会い、それを推奨することにより慣行栽培からの転入農家や、新規農家の手伝いや指導を始めたらしい。

しかし元来の自然農法の信奉者たちからは、植物性のエキスと言えども何かを畑に入れることへの強い反対もあるそうだ。


また、マクロ的、経済的な観点から考えると、無農薬、無肥料栽培が広まれば、農薬メーカーや肥料メーカーはその売上に影響が出るし、堆肥も使用しないことにより畜産農家の方たちは自分達が出した動物性の排泄物の処理にも困るなどその影響は大きい。



しかし、元田氏は「良い物をみんなで作ってみんなに食べてもらいたい!」という強い信念を持っており、誰からどんなに言われようと、自然農法に営農性を組み合わせた自然栽培を普及させるために今からの人生を掛けることを力強く語っていた。



現在、TPP問題もあり強い日本農業の必要性が期待されている。単位面積当たりのコストをいかに下げるか、また売上をいかに上げるかという重要な課題もあるだろう。

逆に輸入品と国産の差別化を図るためにまたは外国の農産物に遅れない様に「有機農産物」「特別栽培農産物」「トレーサビリティ」「GAP」などの付加価値農産物の強化も必要だろう。

今回の「自然栽培農産物」もその付加価値の一つとして競争力アップの方法論として重要になるだろう。またそういう経済的背景とか関係なく「食と健康・環境に良いものをたくさん作って、一人でも多くの人に食べさせたい」という考えは、とりあえず手放しで応援したいとこである。


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この記事へのコメント

1. Posted by チロママ   2010年12月19日 23:45
なぜ、肥料を使うのか、なぜ、病害虫が発生するの・・・
ほんと〜は、植物って何で育ているのか(育てられているのか)・・・・わかっていないんです。と農学部の先生もおっしゃっていました。
謙虚な研究者だと頭が下がります。
ちょうど、今夜、卒論に「不耕起栽培」の圃場の土をサンプルにしてその「土質」について勉強した子が遊びに来ており、確かに不思議なことが土の中で起きている・・・っといっていたので、このニュースを見てコメントさせてもらいました。
わたしは、北海道で土壌菌の存在を最大限に活かす環境をつくる!という取り組みの成果(今では年収も安定しました)を身近で見ていて、移行期の5年間を支えたものは、信念ぞ!「こりゃ、生き方だ」と感じています。

一方市場のニーズから見ると「よいもの」よ「喜ばれるもの」とに違いがあるんだ、と思っています。
消費者の人たちが、農産物に対してどのような価値を感じているのか、ということ。
来年の課題にしたいと思っています。

2. Posted by 管理人(万太郎)   2010年12月20日 06:56
チロママさん、こんにちは。

農学部の先生の話も、卒論の学生さんの話もなるほどあるんですね、そういう考え方の芽生えみたいなものが全国的に。

「これは信念だ、生き方だ」という気概を思っている人は苦しい思いをしても採算がとれるようになるまで頑張れるんでしょうけどね〜、普通の人はなかなかね。

成功例としては、埼玉県の「豆太郎」さんと「ヤマキ」さんが紹介されてました。60年自然農法でやってるらしいです。

消費者が「良いモノ」を選ぶ時代になるのかどうかも課題ですね。安けりゃいい、という層がまだまだ多いでしょうからね。

チロママさんはこういう現場の一番近くでお仕事されてるので、これからも頑張ってくださいね。
3. Posted by つぶゆめ   2010年12月21日 22:36
5 自然農法のこと、だまだ知らない人がたくさん
いるんでしょうね。

スーパーや八百屋さんでは当たり前のように
農薬、肥料を使った野菜が売られているのだから
仕方ないですね。(私も食べてるし。。)

でも雑草や野山の木々は肥料や薬を撒かなくとも
元気いっぱいですよね〜

大量生産するために肥料や農薬を撒かざるを得ない
状況になってしまった。。
人間が自然をこわしている、悲しいことです><

でも自然の土に戻すまでかなりの年月がかかるのなら自ら自然農法を始めようとする農家さんは
なかなかいないでしょう。。

私としてはもっと自然農法が増えて安全な野菜や果物が食べられる時代が来ればどんなにいいことか。。と思っています。

自分たちの体に安全なものはもちろん大切ですが
自然の土を肥料や農薬で不自然にしていくのも
本当に怖いことだと思います。

実際に農薬で体を壊す農家さんもいると聞きました。体を壊してまでも大量生産をしなくてはならない。。辛いことですね。


私も機会があればタッキーべジガーデンさんへ見学に行きたいです♪
4. Posted by 管理人(万太郎)   2010年12月22日 15:18
つぶゆめさん、コメントありがとうございます。

ホントですよね〜。消費者として食べる立場になれば、世の中全部無農薬無化学肥料の農産物になって欲しいですよね。

タッキーさんの畑は僕も時間の関係で今回みてないんです。行けたらいいですね。
5. Posted by あかざえり   2010年12月22日 16:19
万太郎さん

講演会でお会いでき、嬉しかったです☆
元田さんの講演会、久々に涙がこぼれるほど感動しました。
その内容を、的確に表現される、万太郎さんの文章力!尊敬しちゃいます!!


元田さんの仰ったことで印象的だったのは

『無農薬栽培がすぐにできる‘土壌活性剤’を開発したけど、苦労知らずに無農薬営農できる土になるが、簡単にできたら、‘土’を大切に扱わないかもしれない』

というような言葉でした。。

自然農法や、有機農法で、苦難を乗り越え成功された農家さん達にお会いすると、何かを『悟』ってあるような人生観をそれぞれお持ちだなと感じます。

苦難や努力、面倒なことが、教えてくれること。
それが、一番の財産なのかなと感じるこのごろです。



追伸

福岡の社長!というHPで万太郎さんを拝見し
心うたれたのは『夢は継続すること』
という言葉でした。

あかざえり
6. Posted by よしりん   2010年12月24日 23:28
3 こんばんは。初めてコメントさせていただきます。わたしは自然農法を普及する立場にあります。元田さんの畑にも行ったことがあります。ご自分でいろいろ考えて実践されていることは素晴らしいことだと思います。良いものを生産して生活が普通にできることが大切と思います。いかに早く自然農法でたくさんの収穫ができるようになるか。それはその人の気持ちが大切と思います。
7. Posted by 管理人   2010年12月25日 00:08
よしりんさん、はじめまして。

僕の本名のあだ名もよしりんです(笑)

元田さんのお話は初めて聞いたのですが、信頼できる人だと思いました。元田さんの農法が技術的に正しいのかどうかは僕には即座に判断する事はできませんが、考え方ややろうとされていることは信用できる人柄だと思いました。

こういう農法が広まる事は人間にとっても地球にとっても大切なことだと思います。頑張ってください。
8. Posted by アンチ有機   2012年03月02日 19:24
だったら、植物の種を撒く事が不自然なのでは?
9. Posted by 管理人   2012年03月02日 19:43
アンチ有機さん、コメントありがとうございます。

まあ、何をもって「自然」というは難しい問題ですよね。
でも、種を撒かないのであればそもそも「農業」ではないのでは。。。
狩猟?採取?とかになるかも。

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