2010年12月21日

農業に志を抱く男子高校生からの質問。

12/12、当ブログのコメント欄に「スカイツリー」さんという方からメッセージがありました。「農業分野」に志を抱く高校男子からのメッセージでした。彼の質問に答える意味でご紹介します。(一部修正してます)

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僕は北海道の高校一年生です。僕の親は農家です。将来は農業経済学を学び、「農家の現場」というよりは「農家の基盤・根本」を変えていけるような仕事に就きたいと思っています。まだ僕は戸別補償とか、詳しいこともわからない高校生です。そして、将来の夢を考えるたびに農業が抱える問題の重さと国家間の矛盾やしがらみに押しつぶされてしまうのではないか。と不安になります。
しかし、変えたい。改善したい。そんな思いを湧きあがらせるのは親の姿なんです。
どんなにつらくても、暑くても、寒くても、眠くても、しんどい体を休ませずに、体を壊すまで働く親の姿です。 
今まで兄弟が生まれてから18年間、両親はこの農業という世界の中で僕らを守ってきてくれたのかと思うと、本当に感謝の気持ちです。

すいません。長々と私情を書きました。

管理人の方に聞きたいのは・・・
(1)僕らは今から何ができるのか、どんな勉強をするべきか。
(2)これから日本の農業・農家はどんな形であって行かなくてはならないのか。
(3)僕が救いたいのは日本の農業ですが、日本の農業のことだけを救いたいと思うのはやはり良くはないことでしょうか。
(4)日本の農業を根本的基盤から救いたい、という目標を達成するには、どんな職業に就けばよいのでしょうか。


僕はこのブログには僕が知りたい農業のリアルが書かれていると感じています。このページに出会えて大変幸せです。

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以上がスカイツリーさんのコメントです。

本当に有り難い気持ちで一杯になりました。そして、こういう青年が真面目に日本農業の現実に目を向けて冷静にその問題点を直視して、さらには解決して行きたいと思っているということも嬉しい限りです。

ご両親の農業に向かう苦労を毎日見ながら成長してこられたのに、その苦労する農業から逃げずにさらに恩返しのつもりで農業界で仕事をしたいという気持ちにも心を打たれます。

そういうスカイツリーさんからの質問でしたので、コメント欄ではなく、この場できちんと答えたいと思いました。というか、その質問に対する答えを考えながら、私も自分の意見や気持ちを整理したり、いろんな情報を集めて勉強させてもらってるんですけどね。たいした事は答えられませんが、素直に私の意見と気持ちを伝えたいと思います。

さて、それでは質問に答えて行きたいと思います。


質問(1) 僕らは今から何ができるのか、どんな勉強をするべきか。

将来的に実際に農家になるのではなく、日本農業の仕組みを変えたいと思っているのであれば、「経済学」「経営学」を学ぶ必要があると思います。それを学校で学ぶのか社会に出て実体験として学ぶかは、時間とお金の問題もあるので何とも言えませんが、そういう目で世の中を見ていくことは社会人としてぶれない考え方を持つためには大事なことだと思ってます。

またたくさんの農家さんと話していろんな意見を聞くことは非常に大事だと思います。できれば数カ所の農家さんのところで農業を体験することもためになると思います。

たぶんそこで聞く意見や声はマクロ的に経済学や経営学から学ぶこととは全く反対の話を聞くことになると思います。「農業は経済学で考えてはいけない」という話もあるでしょう。それはそれで現場の状況を知る上で大事なことだと思います。



質問(2) これから日本の農業・農家はどんな形であって行かなくてはならないのか。

いろんな形があって良いと思います。それを今の段階で決めて勉強する必要はないと思います。

一般的には、日本農業は法人化して大規模化してコストダウンして外国の農業に対抗する必要があると言われてます。それが日本の農業を強くすることだと言われてます。しかし、どんなに大規模化してもアメリカ、カナダ、ロシア、オーストラリア、ブラジル、中国などに敵うわけがありませんよね。

逆に少量でもで高付加価値な商品は日本じゃないと作れないという考え方もあります。

その判断は農家さん本人のおかれた条件や考え方で決まると思います。自分の畑は、消費地に近いかの遠いのか、地質や気候はどうなのか、平坦地なのか丘陵地なのか山間部なのか、それらによっては大規模化できないかもしれません、ハウス栽培ができないかもしれません。

家族だけで少しの野菜を大事に育てて出来るだけ高く売れるような農業をしたいのか、大人数を雇ってとにかく大量生産的に薄利多売でもいいから大規模にやるのかも、農家さん本人の考え方が一番大事と思います。

ただ私が思うのは、農家さんの自分たちの作業労賃を経費に入れて計算しても採算が合うような農業を確立しなければ、TPPに対抗するとかどうのこうの言ってる場合じゃないと思います。そう考えると結果的にある程度の規模の農業を行う必要があるというのが私の考えです。



質問(3) 僕が救いたいのは日本の農業ですが、日本の農業のことだけを救いたいと思うのはやはり良くはないことでしょうか。

まずは、日本の農業を救えば良いと思います。外国にはそれぞれ自分たちの農業を救おうとしている人がたくさんいるでしょうから日本のことを考えればいいと思います。

っていうか、日本の農業を救うことが出来ずに他国の農業を救うことはできないでしょう。農業技術を扱う人やメーカーが農業後進国に対して技術指導や技術供与を行ったりしてますよね、またボランティアで農業指導に行っている人たちもいます。そいうことはその専門の人たちにお願いしていても良いでしょう。

とりあえずは、日本の農業がおかれている状況(外国の農業との関わりも含めて)を机の上と現場で勉強して行くことが大事じゃないでしょうか。



質問(4) 日本の農業を根本的基盤から救いたい、という目標を達成するには、どんな職業に就けばよいのでしょうか。

明解で且つ面白くない答えは、「農水省の官僚になる」ということでしょう。TPPやFTAなど外国との交渉、国内の農政を行うのは農水省ですから。「食料・農村・農業白書」にて農業の現状分析や今後の基本計画を書いているのも農水省の役人さんです。

しかし、農政の中の人間になるとどうしても、現状や過去からの流れを破壊して新しいものを取り入れたりする改革は難しいかもしれませんね。

例えば、現在は米の販売がほぼ自由化になってますが、1970年頃から政府の減反政策に反対する一部の農家が減反に応じず、ついには自主販売を始めて政府ともめました。当時は相当な勢いで国から圧力や攻撃を受けたそうですが、今ではどうでしょう、法律が変わって堂々と自主販売ができるようになりました。

一般的に新しい流れやムーブメントを起こす人というのは、迫害されたり苦しめられたりしている「外」の人間です。

そう考えると、農産物を作る人に限らずとも、農産物を農家から買う人(卸売り会社)、運ぶ人(運送会社)、売る人(小売り会社)として業界に身を置いて、その中で日々肌で感じる問題点を自分の知恵と工夫で解決して行くことが一番やりがいもあると思います。

新しいことを始めても素晴らしい目的意識の元にそれを貫けば、最初は風当たりが強くてもそのうち賛同する人が増えてくると思います。そうなれば最初攻撃していた人も手のひらを返したようになびいてくるものです。




以上、私の少ない経験と知識の中で偉そうに書きましたが、参考程度にして頂ければ幸いです。この私もスカイツリーさんとたいして変わらず今の日本農業の中でもがき苦しみながら生きているタダ一人の男ですから。お互い頑張りましょう!


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vegenews at 09:13│Comments(0)この記事をクリップ!

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